「商品を入れる箱を発注しないと」
「上司に化粧箱を作れって言われたけど化粧箱って何だ?」
商品を売る行為はビジネスでもっとも大切と言っても過言ではありません。その時には商品そのものはもちろんのこと、パッケージ(箱)も大切です。
この記事ではパッケージの一種である化粧箱について解説いたします。化粧箱の手配を任されて困っている企業のパッケージ担当の方は、ぜひ最後まで読んでみてください。
化粧箱はどんな箱?
そもそも化粧箱とはどのような箱なのでしょうか?広義には「印刷等の装飾を施した箱」ですが、化粧箱にはいくつか種類があります。
化粧箱の種類① 板紙(単紙)の箱
お菓子や食品、日用品パッケージに使われている箱で、スーパーマーケットなどへ買い物に行く方は普段からよく目にする箱です。比較的安価で畳むと嵩張らないというメリットがあります。しかし、破れたり変形しやすいデメリットもあるため、中に入れる商品は比較的安価なものとなります。
化粧箱の種類② 貼り箱
厚紙にファンシーペーパーや和紙などを張った箱のことを貼り箱といいます。高級なお菓子やアクセサリーに使われる事が多い箱です。見た目に美しく、また和紙など華やかな素材が使えるというメリットがありますが、箱を畳めないため、保管面積(体積)が必要であったり、輸送費が高くなるデメリットがあります。
他の箱と比べてメリット/デメリットはあるのか
化粧箱のメリットやデメリットは何でしょうか?
メリット
メリットは販促効果があることです。
見た目に華やかで高級感のあるパッケージはそれだけで販促効果があります。中身を出した後も物入れとして使用できるような箱であれば、より価値が高まるでしょう。
デメリット
デメリットは比較的大きな箱の制作が難しいためです。
段ボールなどと違い板紙の最大サイズは800mm✕1,100mmとそれほど大きくありません。どうしても足りない場合は複数の板紙から部品を作って張り合わせることもありますが、基本的には一枚の板紙から貼り箱を作ることを考えましょう。
オリジナル化粧箱ができるまで
オリジナルの化粧箱ができるまでには、どのような工程があるのでしょうか?一つずつ解説します。
ヒアリング
はじめに次のような内容をヒアリングします。
・商品概要
・ターゲット
・販売方法
・デザインイメージ
・予算
専門のスタッフがヒアリングしてパッケージの全体像を決めていきます。遠方の方はオンラインでも対応可能です。
形状確認
次に具体的な箱の形状を決めていきます。次の項目をもとに検討します。
・商品サイズ
・重量
・箱への入れ方
お打ち合わせ時に、①中に入れる商品を②中に入れる数だけサンプルとして提供していただけるとスムーズに進みます。
設計
箱の形状に合わせて弊社で箱の型抜き形状を設計します。設計にはCADを使用しますので、オンラインでデータを送付後、お客様のPCにてご確認いただけます。箱の形状にご希望がある場合は、イメージに合う画像やラフ案(スケッチ、ポンチ絵)があれば一緒に提出していただければ助かります。
試作品作成
試作品として無地の紙でサンプルパッケージを作成します。お客様にて実際に商品を中に入れて確認していただけます。
お見積り
使用する紙の素材、印刷のデザインや仕様、表面加工の内容によってお見積りします。
デザイン制作
弊社がCADで設計した型抜き形状のデータをお渡しします。illustrator(デザイン用ソフト)をご利用になるお客様は、CADデータを取り込んでデザインの設計が可能です。入稿はillustratorのAiデータかpdfが一般的です。
なお、弊社ではデザインも対応できますので、お困りの場合は仰っていただければと思います。
ご注文
パッケージの仕様やデザイン、試作品の評価などお客様に最終確認をしていただいてから制作を開始します。最終確認前に工程を進めることはありませんので、ご安心ください。
校正刷り
ご要望に応じて校正刷り(試し刷り)を行います。有料(5,000円〜)とはなってしまいますが、全数刷り終わった後に修正したい点が見つかる場合もございます。できる限り校正刷りをされることをおすすめいたします。
製造
校正刷りをご確認いただいたのち、原料の手配と加工を行います。製造開始後はデザインデータの差し替えやパッケージ仕様の変更はできませんので、ご注意ください。
完成
最終的なチェックを行い、問題がなければお客様に納品いたします。
オリジナルで化粧箱を作る時に失敗しないためには
オリジナルの化粧箱作成で失敗するとリカバリーに時間やコストがかかります。ここで次の三点に着目して失敗しないための対策を述べます。
・強度
・素材
・中身
強度
どのような箱にも最低限中身を保護する機能は必要です。積み重ねて輸送や保管するときは荷重や衝撃への耐性も必要になります。基準はありませんが、箱に入れる商品と板紙の厚さの目安を表1に示します。
表1.商品に適した板紙の厚さ
商品 | 板紙の重量(g/㎡) | 板紙の厚さ |
歯ブラシ・鉛筆など | 270 | 約0.34 |
ハンドクリームやスナック菓子など | 310 | 約0.40 |
アイスのマルチパックなど | 350 | 約0.44 |
箱の1辺が60mmを越えるもの | 400 | 約0.50 |
箱の1辺が100mmを越えるもの、かつ1kgまでのもの | 450 | 約0.57 |
素材
化粧箱に使われる素材には次の四つがあります。
・コートボール
・特殊板紙
・高級板紙
・チップボール
・ファンシーペーパー他
コートボール
表面が白く、裏面がグレーであるのが特徴のコートボール。表面は印刷を想定していますが、裏面への印刷は想定していません。常温で販売される食品やボックスティッシュなどのパッケージに使用されます。
特殊板紙
コートボールの裏面を白くしたような特徴の特殊板紙。コートボールと同様に印刷を想定しているのは表面のみです。市販の医薬品や化粧品などのパッケージに使用されています。
高級板紙
特殊板紙の裏面にも印刷できるような特徴を持つのが高級板紙。両面への印刷を想定しているため、裏面もツルツルしています。高級なお菓子などのパッケージに使用されます。
チップボール
新聞紙の古紙を抄き合わせて作ったチップボール。両面がグレーで印刷を想定しておらず、貼り箱のベースとなる箱に使用されます。貼り箱そのものは高級なお菓子やアクセサリーなどのパッケージに使用されます。
ファンシーペーパー他
貼り箱の表面(チップボールで作ったベースとなる箱の上)に使用されるファンシーペーパー。ナチュラルな雰囲気のもの、画用紙のような風合いのものなど多種多様な紙があります。また、貼り箱の表面には和紙や布を使用する場合もあります。
中身
中に入れる商品が高級品か低価格商品かによっても箱の仕様は変わります。商品の価格帯と箱の仕様がアンバランスだと違和感があるでしょう。
たとえば、お菓子やアイスのマルチパック(6本セットなど)、それに日用品などには比較的安価なコートボールを使用します。コートボールはスーパーマーケットなどで最も目にする機会が多いパッケージの板紙です。
箱と紙面のデザインの作り方は違う?
箱のデザインと紙面(チラシなど)のデザインは一見似ているように思えます。
しかし、箱のデザインならではの工夫が必要なのです。
箱は紙面と違い展開図として印刷します。そのため、正面のデザインに対して他の面のデザインの向きに気をつける必要があります。直方体や立方体の場合は、デザインがサイコロの各面と同じ向きになるようにしましょう。
また、デザインが各面で独立している場合も注意が必要です。印刷エリアの位置には寸法交差があり、一定の範囲(数mm程度)のズレを考慮しなければなりません。このズレを考慮しないと、箱の折り目がデザインにかかることもありますので注意が必要です。
実際にお手伝いさせて頂いた「化粧箱」
それでは実際に弊社で制作した化粧箱を紹介いたします。
中国向けシャワーヘッド
水のように流れる宝石のようなパッケージが特徴。三角形をモチーフにして、それが無数に集まった多面体となっています。三角形の傾き具合により光の強弱が表現され、非常に立体的であり美術作品のように輝いています。
ディテールにもこだわりがあり、三角形の縁にはブルーのグラデーションを入れて水の動きを表現。細かい部分にまで神経を使ったこだわりの一品なのです。
まとめ
この記事では貼り箱の種類や作り方、そして失敗しないためのポイントを紹介いたしました。商売において販売活動は根幹をなすものです。商品そのものがいいのは当然ですが、パッケージ(箱)のクオリティも商品のうちと思ってもいいでしょう。
あなたの会社の素晴らしい商品に見合った箱を、ぜひ弊社で作ってみてください。
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